地域づくり委員会 第三回

内閣官房 地域活性化統合事務局 参事官 髙村義晴 様 より

第三回民間委員会に寄せて

- 地域の総合商社構想 -

 

これまで民間員会に出席させてもらい、改めて感心し教えられたことがあります。それは、みなさんが、いかにこだわりや想いを籠めて、「もの」をつくられているかということです。そこには物語があり、地域の美意識や誇りがあります。そのような想いの一滴、一滴が集まり、小さな小川となり、大きな流れとなっていく。そしてその滔々(とうとう)とした流れが、次の世代や後継者たちに受け継がれ、地域が脈々と生き継がれていく。そのような想いに包まれて、球磨・人吉地域の方々が豊かで充実した暮らしを築いていく。そうあることが地域づくりの要諦(ようてい)だと思います。前回お話した「ライフ・スタイルのブランド化」も、簡単にいってしまえば、そういうことです。

けれどグローバル化が進む市場社会が、そうやすやすとそうさせてくれません。いかに想いを籠(こ)めたものであっても、丹念につくったものでも、商品となれば、そのような営みや想いは見えてきません。安ければ安いほどよい、ということになってしまいます。とすれば地域の物語として、その商品に溶かし込んでいく必要があります。あるいは、他のものと組み合わせることで、あるいは暮らし方として提案することで、語りかけていくしかありません。ものづくりにかけた想いを、言い換えれば、そのもののもつ「良さ」「意味」をいかに語りかけていくか、ということです。

たとえば、美味しい豆腐を考えましょう。豆腐だけでなく、それを一番美味しく食べられる、小分量の薬味や醤油をつける。それだけではなく、豆腐のきり方、食べ方をつける。それが一番美味しく食べられる、お箸をつける。できれば豆腐の食し方の作法をつける。そんな豆腐、値段が高くなって誰も買わない、と言われるかもしれません。であれば、贈答品やみやげ物として売る。豆腐にあう焼酎と一緒にする。観光地の売りとすることも考えられます。要は、豆腐を売るのではなく、豆腐を一番美味しく食べられる作法と一緒にする。地域のほかの名品や技と組み合わせることです。

  豊かな暮らしや暮らし方をテーマに、地域でそういう企画をし、人と人、モノと人、技と人を結びつける、それが「地域の総合商社」です。それが地域づくりの一つの方法になります。これまでのお話から、そんなイメージが浮かび上がります。

地域には、いいもの、優れた技、先人たちから受け継いだ美風、自然とともに生きる作法などに溢れます。それをいかに、グローバル化が進む市場経済との折り合いをつけていくか。それは地域を売るということでもあり、ひいてはこの国を売っていくということでもあります。いま経済産業省で進めている、「クールジャパン」(かっこいい日本を売る)も、そこに着目し始めています。

日本を売るも、基本は、この国の美しい暮らし方を語りかけていくしかありません。

  民間委員会として、これまでのご意見を踏まえた、次の展開が求められます。行政で始まる、地域づくりに関する員会に提案するのも一つの手だと思います。

球磨・人吉が、全国あるいは世界に誇れる地域であって欲しい、なによりもそこに住み暮らす方が誇りをもち、豊かで充実ある暮らしを実現させて欲しい。そうしてそれが次の世代や後継者に受け継がれていって欲しい。それを心より願っております。

平成23年4月27日

高村義晴